見つけてうれしい看護師募集
看護師募集のポスターの想いで
私の母は前から体が悪く長く床に臥していたのだが、ある日父が私に、「もう、しょうがない。呼ぼうか。」とささやいてきた。父は静かにダイヤルを回し、救急車を呼んだ。母は蒲団から立ち上がろうとしていたのだが、左手がうまく動かず、何度も何度も倒れ、見かねた父が涙をこらえて、電話をしたのだ。初めて救急車に乗った。こんなことがある前は、救急車やパトカーが走ると祭りごとのように覗き込んでいたが、今後は絶対にしないと思った。その日は何も無かった。いつもと違う場所に連れられた母は少し怯えており、なかなか手を放してくれなかった。病院をでて、父と二人無言であったが、目の前にいるというだけでも心強いものがあった。翌日、病院から心臓が停止したのですぐに来てほしいと電話がかかってきた。どういう状態なのかまったくわからなかった。心臓が止まったら死んでいるのでは無いか?治療室が見えてくるとかなりの大騒ぎになっており、私を案内した看護師が母の心臓は蘇生したことを教えてくれた。母の姿は、昨日見た姿とはまったく違っていて緑の衛生服を着た大勢の人や、いろいろな装置に囲まれ、顔や腕にはチューブや点滴が差し込まれていた。母も私たちの姿に気が付き、こちらを振り向いた。その瞬間、母は右手で鼻に差し込まれたチューブを無意識に引き抜いた。チューブは相当に長く、引き抜いたところから血があふれ出た。鳴り響く装置類と、母の鼻と口からあふれ出した鮮血。あまりの出来事に私たちは立ちすみ、呆然としていると「ちょっと取り込み中なので外へ出てください。」看護師から押だされてしまった。昨日に続き、私たちは無言で、私は父の顔も見ていなかった。思考が停止していた。その翌日に面会が許されたが、母の意識は戻らなかった。天井を向いて、目を大きくあけたまま身動き一つしなかった。変りはてた母の姿に、私の心は打ちのめされ、何も考えられなくなっていた。その時に、「お熱をはかりまーす。」と笑いながら看護師が入ってきた。最初は気にも止めていなかったが、病院生活が長くなるにつれ、だんだんとその看護師さんが来るのを待つようになってきた。母もまた、時間が経つにつれ意識がもどり、奇跡的に立ち上がれるようになった。今でも感謝している。あの看護師さんは、私ためにわざと明るく病室に入ってきてくれていたのだ。おかげで私も、父も希望をとりもどし家族が救われた。看護師は病人だけではなく周りの家族も救うすばらしい職業だ。病院に看護師募集のポスターが貼ってあり、若い学生さんが眺めていた。看護師を目指しているのだろうか。がんばってくださいと心の中で思った。
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